売り手の「売りたい気持ち」は買い手の盛り上がりを追い越してはいけない

オピニオン的なの

雑記。ちょっとした説明会に参加してみて思ったんですが、日本人だからか、自分の気持ちの盛り上がりより先に「売りたい」って思いを前面に出されると急に気分が盛り下がるのを体感したのでメモしておきます。

 

僕は営業職ではないですが、お仕事でお客さんと話す機会もあるので、「売りたい気持ち」を「自社の言い分」に変えると自分も注意しないとなぁ、と思った次第です。

そんなことを思ったきっかけ

本題に関係ないので詳細は省略しますが、とあることをお願いするのに複数のお店が候補に挙がっていて、どのお店も無料で説明を聞けるとのことで候補のうち2つのお店に足を運んできました。

仮に、最初に行ったお店をA、後に訪れたお店をBとします。

 

Aのお店では、まずは比較的客観的に自分のお店の特長を説明し、こちらの疑問にも丁寧に答えてくれていました。

もちろん向こうも商売なので、他にはない自社の売りを伝えてきてはいたのですが、あまりそれが前に出た印象はありませんでした。

こちらがそのお店を気に入り始めてからも、他のお店の説明も聞いてから決めたい旨を伝えるとあえて押してくることはなく、「納得して決めてほしいが、先着順なので先に埋まってしまって希望に添えない場合は了承いただきたい。うちにしようと思っていただけた際には、なるべく早く連絡いただきたい」と、あくまで事実を伝えるだけ、といったレベルで売り込んでくるだけでした。

 

一方Bのお店は、最初の方はAのお店と同様に自分のところの特長を冷静に説明してくれた感じだったのですが、僕が違和感を覚えたのはその説明のクロージング、具体的にお金の話や本決まりの判断を促されるシーン。

最初に、「他のお店も比較して決めるつもり」と伝えていたのですが、「今この場で決めませんか?」という主張がやや強すぎたんですね。

率直に、「今決めませんか?」といったん聞いてきたのはまだ普通によくある営業行為だと思い、そこまで違和感はありませんでした。

ただ、こちらに決める気がないことを見ると、説明担当の方が他のお店のイマイチさを語り始めてしまったんですね。

そのタイミングで、どうも僕は妙に冷静になり、「ああ、なんとなくイヤだな」とまで感じてしまったのでした。

相手の意思を尊重せずに「売りたい気持ち」が前面に出ると買い手は引く

Bのお店に違和感を覚えるかどうかは、もしかすると性格などによっても違うかもしれません。

ただ、あまりよくないように思う一番のポイントは、Bのお店は、こちらの「他のお店も検討したい」という意思を尊重していない点だと思うのです。

 

もちろん向こうも営業ですし、わざわざ時間を取って説明してくれたからには、できることならその場で成約できるに越したことはないと思います。

でも、でもですよ?こちらは「他のお店もいいと思ってるから説明聞きたい」と思っていたわけです。

それに対して、他のお店のイマイチさを前面に押し出されてしまうと、極端な話その店を良いと思っていた自分をも否定されているような気分になってしまったわけです。

 

こちら思いを無視して、「他のお店よりうちの方がいいから今決めようよ」っていう、「売りたい気持ち」が前面に出すぎてしまい、それを受け取った買い手側としてはなにやら胸焼けがするというか、あまり良い気持ちはしないわけです。

 

特に日本人の特性かもしれませんが、相手の意見を聞かずに一方的に自分の主張を押し付けられたと感じると、無意識に抵抗感を覚えてしまうように思います。

買い手のテンションに合わせて背中を押すのはOK

ここまでに書いたように、Bのお店は「売りたい気持ち」が前面に出すぎて買い手側である僕に抵抗感を持たせてしまいました。

では、「売りたい気持ち」を表に出すのはすべて悪いことなのでしょうか?

 

これに関しては、僕はそんなことはないと思います。

実際、Aのお店でも、表現を変えると「他の人に取られても知りませんよ?さっさと決めてしまいません?」的なことは言って来ているのです。

ただ、こちらの「他も検討したい」という思いを尊重して、どこまで踏み込むかを考えてくれていたので、抵抗感を覚えることがありませんでした。

逆に、Bのお店の印象が悪かったこともあったかもしれませんが、Bのお店から出た後に「他の人に取られる前に早めにAのお店に予約の電話しなければ」と思ったぐらいです。

 

あくまで個人的な感覚ですが、買い手としてある程度気持ちが乗って「悪くないな」と思っているときに、売り手側から控えめに「ここで決めてしまう選択もアリだと思いますよ」と背中を押してもらえると、安心して決断できたりします。

ここで大切なのは、売り手側からの一押しはあったものの、あくまで「判断したのは自分」という感覚を持っていることです。

 

人は誰しも優柔不断な部分は持っていると思うので、そうしたときにそっと一押ししてくれる程度に「売りたい気持ち」が出てくる分には、判断を助けてくれたりします。

背中を押してもらってなお、「やっぱりどうかな?」と思ったときには、判断を保留してもいいのです。

控えめに背中を押すような売り手さんが相手なら、仮に断ったとしても気まずくなることもなく、また次も気になるものがあれば見てみようと思えます。

お仕事などで、自分に置き換えてみると……

今回は自分が買い手側でしたが、お仕事の商談や、ブログで商品を紹介したりするのに置き換えてみると、注意しないといけないなあ、と身につまされます。

ついつい自分の主張や自社の言い分、紹介している商品を買ってほしい思いが前に出てしまいがちです。

ただそんなときに、やりすぎると今回僕はあまりいい印象を持たなかったBのお店みたいになってしまいます。

 

あくまで「売りたい気持ち」は、相手の意思を尊重しつつ控えめにそっと背中を押す程度に留めないといけないな、と思います。

相手の立場に立って、というのは簡単ですが、基本的なことだからこそなかなかできないことでもあります。

 

今回、買い手の立場でふと印象に残った出来事だったので、自戒も込めて書き留めてみました。

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